雨を楽しむ新感覚写真詩集
「あめん法師」夢枕獏・詩、佐藤秀明・写真(三五館 1300円)
世界中を釣り歩く人気作家と、その旅に同行する写真家が雨をテーマにコラボレーションした新感覚写真詩集。
旅の合間、雨に出合うと作家の口から次から次へと雨の物語が飛び出してくるという。不思議なタイトルは、作家が作り出した雨のもうひとつの呼び名。「雨は人を楽しませもすれば、いたずらもする。まるで子どもみたいに。あめん法師のようにね」と作家が写真家に語った言葉からつけられている。
「わ わ わ あめのわ ひとつ ふたつ みっつ たくさん 数えきれない わわわ……」と水たまりに作られる雨の輪が増殖して土砂降りになっていく面白さや、「げんげん げんき げんげん げんこつ げんきに濡れろ 濡れたって いいさ 濡れたって おもしろい あめの日の遊びは 濡れるから 楽しい」と色とりどりのカッパを着た子どもたちや、雨の中を自転車に乗る少年の姿を通して雨の日に外で遊ぶ楽しさを表した作品など、詩と写真の絶妙な組み合わせが楽しい。中には、「あじさいが 咲くころ もどってくるとあなたは言った 七年も前の話だけれど」と男女の機微をわずか数語で広がりのある物語に仕立てた作品もある。
雨は、人を温かく包み込んだり、寂しくさせたり、恵みを与えるかと思えば災いをもたらしたりもする。そんな「あめん法師」が作りだす8つの小さな物語と、さまざまな雨の風景を切り取った写真に刺激され、想像力が羽ばたきはじめる。読者の心の中にもさまざまな音色の雨音がはじけることだろう。
新風舎 | 表現する人のための出版社新風舎文庫
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